【週間まとめ】データセンター業界ニュース 8/22〜8/29——NVIDIA決算週、国内は箕面ハイパースケールと印西「第3の訴訟」
今週のキーワードトレンド
当サイトの自動収集ツールで直近7日間に収集したDC関連ニュース159件から、キーワードの出現回数を集計しました。
| 順位 | キーワード | 出現数(全体) | うちDC専門メディア |
|---|---|---|---|
| 1 | 電力 | 60 | 14 |
| 2 | 投資 | 34 | 2 |
| 3 | NVIDIA | 30 | 10 |
| 4 | 液冷 | 21 | 6 |
| 5 | GPU | 9 | 2 |
| 6 | 原子力 | 6 | 0 |
| 7 | 再エネ | 5 | 2 |
| 8 | 買収 | 4 | 3 |
| 9 | 新設 | 4 | 1 |
| 10 | 液浸 | 3 | 1 |
※出現数は当サイトの収集条件(検索キーワード・購読フィード)に依存する参考値です。「DC専門メディア」はデータセンターカフェ・Data Center Dynamics・Data Center Knowledge・週刊データセンターWatchの記事のみでの集計で、検索起因の偏りを受けにくい数字です。
今週は「NVIDIA」が専門メディア集計で首位級に浮上しました。四半期決算の発表週で、業界全体がその数字を電力・設備投資の先行指標として読んだ一週間です。定番の「電力」は今週も全体首位で、規制(スペイン)・系統(米PJM)・電源(国内の電力会社系DC)と、切り口を変えながら業界の最重要テーマであり続けています。
AI・HPCインフラ
NVIDIA決算、DC部門は四半期890億ドル——「AIバブル」議論に実需で回答
NVIDIAの第2四半期売上高は962億ドル(前四半期比18%増)で前年比ほぼ倍増、うちデータセンター部門は890億ドルに達しました。AWSが200万基規模のGPU追加配備を計画するなど、需要はなお供給を上回っています。GPUの売上はそのまま数年後の電力・冷却需要になります。Blackwell解説記事で述べた「1ラック100kW時代」が、決算数字の裏でさらに拡大している構図です。
SKテレコム、AI DCインフラ新会社「SK Horizon」設立——KKRなどが22億ドル出資
SKテレコムはSK Broadbandからインフラ部門を分社化し、KKR・IMM Investmentの出資を受けたAI DC専業の新会社を設立しました。通信キャリアがDC資産を切り出して外部資本で成長を加速させる手法は、国内キャリアのDC戦略にも示唆があります。
電力・冷却技術
スペイン、DCに「電力の80%を新規再エネで」義務付けへ
スペイン政府が、容量1MW以上のDCに対し消費電力の80%以上を新設再エネで賄うことを義務付ける規則案を策定しました。「DCの電力は新しい脱炭素電源で」という追加性の要求は欧州で強まる流れです。日本のGX戦略地域によるDC誘導は補助金型ですが、規制型へ転じる国が出てきたことは、国内事業者も中期的に織り込むべき変化です。
米DOE、760MWの老朽火力を延命——PJMのDC負荷急増で
米エネルギー省は、PJM管内の需給逼迫を理由にEddystone発電所(760MW)の運転継続を指示しました。DC需要が老朽電源の延命を招く事態は、PJMの負荷急減イベントの解説記事で触れた「DCと系統の相互依存」の裏面です。
Molex、液冷ベンチャーCAEPlusに出資
コネクタ大手Molexがチップ直結型液冷のCAEPlusに出資。部品メーカーによる液冷サプライチェーンへの投資が続いています。液冷・液浸の基礎解説も併せてどうぞ。
国内DC動向
関電サイラスワン、大阪・箕面にハイパースケールDC——10月着工・2029年7月完成へ
関西電力と米CyrusOneの合弁「関西電力サイラスワン」が、大阪府箕面市に延床約3万㎡・鉄骨4階建てのハイパースケールDCを新設すると報じられました。2027年度稼働予定の京都・精華町に続く2拠点目で、同社は10年で1兆円超を投じ受電容量90万kW以上を目指します。電力会社がDC事業の主要プレーヤーになる流れは、原子力フィジカルPPAの記事で解説した「電源とDCの垂直統合」の延長線上にあります。
NTTドコモビジネス×東電PG、「コンテナDCパーク」を大田区に
NTTドコモビジネスと東京電力パワーグリッドが、GPUサーバー対応のコンテナ型DCパーク展開を発表。第一弾は東京都大田区です。変電所隣接地などの電力会社アセットを使い、建屋建設を省いて速度で勝負するモデルで、こちらも「電力×DC」の組み合わせです。
印西で「第3の法廷闘争」——住民7人が今度は市を提訴
千葉・印西の駅前DC計画を巡り、住民7人が印西市を相手取る訴訟を起こしたと報じられました(東京新聞)。3月の建築確認取消訴訟、5月の住民120人による監査請求に続く動きで、原告は「法制度の不備に一石を投じたい」としています。争点は一貫して「DCは工場か事務所か」という法的定義の空白です。迷惑施設化するDCと社会的受容性の解説で書いた通り、定義問題を放置するコストは業界全体に跳ね返ります。
【読み物】「ようやく加速し始めた日本のAIデータセンター」
Impress Watchが日本のAI DC整備の現在地を総括する記事を公開。Noetraの140MW計画や秋田の300〜500MW級AI DC構想に触れつつ、1.5GW超が動く米国との規模差を指摘しています。国内の立ち位置を俯瞰するのに好適な一本です。
海外DC動向
OpenAI、エネルギー計画をDC組織に内製化
OpenAIがエネルギー技術職をDC部門内に新設し、柔軟負荷・自家発電・蓄電の戦略を内製化します。ハイパースケーラーが「電力会社化」していく象徴的な動きです。
Infineon、インドの電力システム企業C2iを買収
独InfineonがAI DC向け電力システムを手掛けるC2i Semiconductorsを買収(年内完了見込み)。GPUだけでなく、給電・電力半導体のレイヤーでもM&Aが活発化しています。
市場データ・統計
APACのDC資産価値、2030年に1兆ドルへ——C&W予測
Cushman & Wakefieldは、APACのDC資産価値が2030年までに約1兆ドルに達する可能性があると予測。実現には2,800億ドルの設備投資が必要としています。日本はAPAC投資の主要な受け皿の一つであり、国内DC市場の概観記事の数字と併せて読むと解像度が上がります。
今週も最後までお読みいただきありがとうございました。DCトレンド研究では、毎週のニュースを現役DCエンジニアの視点で整理してお届けします。
この記事は DCトレンド研究 が独立した第三者の立場で執筆しています。